第3回目はSAGA子ども英語研究会の会員の中から、SAYAKAさんのエッセイを紹介します。
昨日、2013年流行語大賞の一つに選ばれた、「おもてなし」について、比較文化の観点から考察したエッセイです。
「お・も・て・な・し」
オリンピック招致の時の、滝川クリステルさんの伝説的なスピーチ。
みなさんもまだ記憶に残っているのではないでしょうか。
スピーチの内容を見てみると、おもてなしについての詳しい説明もあります。
「それは、見返りを求めないホスピタリティの精神、
それは先祖代々受け継がれながら、日本の超現代的な文化にも深く根付いています。「おもてなし」という言葉は、なぜ日本人が互いに助け合い、
お迎えするお客様のことを大切にするかを示しています。」
(引用元:http://www.franceplusplus.com/2013/09/christel-takigawa-olympique/)
今回のエッセイは、おもてなしについての比較文化論です。
【おもてなし=hospitality】
英語に訳すと、確かにhospitality となります。
しかし筆者は、欧米文化にはない、日本独自の「おもてなし」があるのではないかと思うのです。
英語でのhospitalityを調べてみました。
Hospitality is the relationship between the guest and the host,
or the act or practice of being hospitable.
This includes the reception and entertainment of guests, visitors, or strangers.
hospitalityとは、ゲストとホストの間にある関係性、また、親切な行動や習慣。
ゲスト・来客・見知らぬ人へのもてなし。
とwikipediaには書いてあります。
(引用元:http://en.wikipedia.org/wiki/Hospitality)
ここで筆者が欧米的だと思うのは、ゲストとホストという二項対立的な考え方です。
お客(=ゲスト)を迎えるホストが、お客に対してふるまう行為、にとどまっている感じがしませんか?
しかし、滝川クリステルさんは「日本人が互いに助け合い」というmutualな関係を示唆している。
この、相互関係こそが、日本流おもてなしの極意だと思っています。
具体例をご紹介しましょう。
10月末から11月にかけて、佐賀ではインターナショナルバルーンフェスタが開催されます。
この時期、たくさんの外国人が佐賀へいらっしゃいます。
地元の人はボランティアスタッフとして、外国人と接する貴重な機会をいただきます。
レッスンの時に、生徒さんがイングランドのパイロットとディナーをした時のことを話してくれました。
「向こうの方はプレゼントをその場で開ける習慣があるのよね。
私、そのことを知らなかったから、ついつい開けずにそのまま奥に下げちゃった。失礼なことしたわ。」
この話を聞いた時、日本人って素晴らしいと思いました。
日本の文化では、プレゼントを人前で開けることは失礼にあたるという、欧米とは逆の考え方があります。
その習慣に従って、生徒さんはいつものように奥に下げただけです。
でも、その当たり前のことについて、相手に合わせなかったことを「失礼だ」と言った。
大げさかもしれませんが、ゲストへの振る舞いという枠を超えて、相手の文化を尊重し、相手に合わせようとする思いやりの気持ちは、日本人の美徳だと思いました。
場所や文化にとらわれず、相手そのものに敬意を払い、相手に合わせようとする。
ゲスト・ホストという関係を取り払い、お互いに相手のことを思いやり、行動にあらわす。
これこそが日本にしかない「おもてなし」だと筆者は思います。
We Japanese welcome you with our unique omotenashi.
私たち日本人は、独自のおもてなしで皆様を歓迎いたします
7年後のオリンピックでは、こんな看板が国際線ターミナルに飾られることを心から願っています。